合掌行気は、手のひら(掌)の感覚を亢めるための
訓練法として、野口整体では、愉気の入門として
まず行なう行法です。
手は愉気や操法の場合、直接に相手(受け手)との接点と
なる唯一の部位であり、感覚を最初に受け取る受信器部分
と空想されます。
本当は、気のやり取りは身体全体で双方に感受し合っている
ものなのですが、気の集注箇処として、非常に重要な
ジョイント部分としての役割を担っているともいえます。
合掌行気は、掌に気を集注させる道筋や過程を訓練すること
により、手を使うことが身体全体を用いることでもあり、
感覚は全体に広がってゆくものであることを、学ばせ
体感覚として掴ませるためのものであると考えられるのです。
◆合掌行気のやり方
基本的な体位は、正座にて手のひらを胸の前あたりで
合わせた状態で行ないます。
①座位にて、手のひらを少し離した状態で胸から
顔の前あたりまでの範囲で腕を上下して、
肩、首等の力みが抜ける高さを探します。
※背側の腰の反りが自然に生まれる位置でもあります。
②上胸部の力みが抜け、腰に重心が落ち着き
鳩尾の緊張が抜ける手の高さの位置が決まったら
その位置で、少し離した両手の掌の間に息を
静かにゆっくりと吹きかけます。
③しだいに離した手のひら同士が近づきあって
来ますので、軽く合わさるか、手の何処か一部でも
触れたら、意識的に合わせ、合掌いたします。
④基本は指先から息を吸い込み、手のひらの
掌(たなごころ)から手首あたりまで吸い込んで
しばらく溜め、指先から呼いてゆく、、。
ということを繰り返します。
⑤通常は、10分、20分、30分くらいは
この状態で一回の行気としての時間を当てます。
⑥気の集注密度が亢まってくるに従い、手のひらに
さまざまな感覚が起こります。
ビリビリした感じ、熱くなる感じ、もぞもぞした感じ
ほあほあと湯気が上がるような感じ,、,等
いずれも気が集注することによって、引き起こされる
感覚です。
⑦行気を終えるには、「止めの呼吸法」※活元運動の項参照
深息法にて「うーむ」と吸い込んで止めた状態で
目を片目づつ開け、手のひらを離し、膝に置いた状態で
息を静かに呼いて終えるのがよいです。
合掌行気は、練習を積むことにより体感覚として
能力が亢まります。
練習法として、段階的に指先から肘まで吸い込んでみる
であるとか、肩までであるとか、
そのまま頸椎と胸椎の繋がり目まで吸い込み、脊椎に
下ろしていくであるとか、、、
だんだんと気の通路を長く伸ばしていきます。
一息でそれらを行ないますから、息の長さも修練されて
行くのです。
上記の動画では、
ひと指ごとに気を通しています。
ひと指行気を行ないながら、身体のどこの部位に
自然に気が集注しているか観察しているのです。
行気、愉気と云うのは、気の集注が亢まるにつれて
意識的に集注させている部分とは別の部位に、自然に
気が連動するように集まってくるのです。
自然集注と言い、その自然集注こそ行気法の要点なのです。